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トウモロコシ:トウモロコシHapMap2によって同定された、ゲノム流入後失われずに現存する多様性

Nature Genetics 44, 7 doi: 10.1038/ng.2313

トウモロコシの収穫高向上のために、育種家は遺伝的多様性を大いに利用している。ところが、栽培種でない品種の有用な対立遺伝子を利用するという点では、あまり進展が見られていない。複雑なトウモロコシゲノムに固定化された多様性を特性解析することは困難であり、これまでに明らかになっているのはそのうちのほんのわずかにすぎない。そこで集団遺伝学スコアリングモデルを考案し、これを用いて特性解析を行い、103におよぶ栽培化以前(野生種)および以降(栽培種)のトウモロコシZea maysの系統から、5,500万のSNPを同定した。対象となった系統の中にはトウモロコシの近縁植物であるトリプサクム属Tripsacumも含まれる。また、トウモロコシゲノムの広範囲にゲノム構造の変化が存在しており、しかもこの構造変化が栽培上の重要な形質に関連する座位に多く認められることも見つけた。さらに、ゲノムサイズの違いをもたらしているものの本体について詳細に調べ、ゲノムサイズの大きなトリプサクムの場合には、異質倍数体起源というよりも、転移因子が多数存在しているためであることを明らかにした。それに対して、同一種内におけるゲノムサイズの差は、染色体瘤(chromosomal knob)の含有量に左右されていると思われた。ここで、トウモロコシとトリプサクムでは、主要な遺伝子が驚くほど一致していた。この事実は、トリプサクムが持つ適応(例えば、多年生、耐霜性や耐乾性)に関する遺伝子群がトウモロコシに取り込まれる可能性が高いことを示唆している。

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