Technical Report 関連解析:構造化集団を対象としたゲノムワイド関連解析のための、複数座位混合モデルによる効率的なアプローチ 2012年7月1日 Nature Genetics 44, 7 doi: 10.1038/ng.2314 集団の構造化は、連鎖していない座位間におけるゲノムワイドな連鎖不平衡を生じさせ、ゲノムワイド関連解析における統計上の交絡(confounding)をもたらす原因となる。混合モデルは、効果の小さな多数の座位が散在している遺伝的背景である場合には交絡効果を解決することが明らかになっているが、効果の大きな座位に関しては常にうまく処理できるというわけではない。本論文では、構造化集団における複合遺伝形質をマッピングするための一般的な方法として、複数座位混合モデルを提案する。シミュレーションの結果、この方法が検出力についてもFDR(false discovery rate、陽性判定に含まれる偽陽性の割合)に関しても既存の方法よりも優れている(すなわち、検出力が高く、FDRは低い)ことが示唆された。この方法を用いて、実際に、ヒトおよびシロイヌナズナArabidopsis thalianaのデータセットを解析し、新たな関連の存在と、対立遺伝子多様性の証拠を特定した。またベイズ統計の手法を用いることで、シロイヌナズナの連鎖マッピング解析から得られていた事前知識を統合して、本法によって解析することが可能なことも示した。今回報告した方法は、計算が効率的であるという長所を持つため、多数のデータセット(n>10,000)の解析を実行可能にしているのである。 Full text PDF 目次へ戻る