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身長:身長に関連するSNPにより、ヨーロッパ系集団で起こった既存変異に対する広範囲にわたる選択の証拠が見つかる

Nature Genetics 44, 9 doi: 10.1038/ng.2368

新しく生じた遺伝的変異に正の選択が強く働くことは、ヒトにおいて十分に裏付けられている。しかしながら、このような形式の選択は、最近になってからのヒトの進化過程においては一般的ではないと思われる。というのは、ヒトの形質にはきわめて多くの遺伝子が関連しており(多遺伝子性)、一部の形質は頻度が高い古代遺伝子変異によって決定されているからである。そのため、迅速な遺伝的適応を説明する別のモデルが提唱されている。すなわち、多数の既存(固定)変異を対象とした弱い選択が起こるか、もしくは多遺伝子性適応が生じるというモデルである。本論文では、ヒトの背の高さ(身長)という典型的な多遺伝子性形質を解析することで、ヒトの固定変異が広範囲に選択されている証拠を初めて明らかにした。身長が高くなる形質と関連する対立遺伝子の頻度を、北欧系集団と南欧系集団で比較すると、既知の座位であってもゲノム規模であっても、北欧系集団において高いという一定した傾向があることが判明した(P < 4.3×10−4)。この傾向はヨーロッパ系集団内での身長の違いを反映し、祖先やその他の収集バイアスの影響を受けない。この一定した傾向は、遺伝的浮動単独から生じた(P < 10−15)のではなく、遺伝的浮動に加えて、広範囲に弱い選択(対立遺伝子あたりの選択係数がおよそ10−3から10−5)が起きたとするモデルに一致している。

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