Technical Report

GWAS:構造化集団において相互に関係する形質のゲノムワイド関連解析に用いる混合モデルアプローチ

Nature Genetics 44, 9 doi: 10.1038/ng.2376

ゲノムワイド関連解析(GWAS)は、自然変異(多型)を遺伝学的に解析するための標準的なアプローチである。ところがGWASには大きな問題があり、座位の違いにも個体差にも左右される複雑なデータ構造を明らかにしなければならない。混合モデル(mixed model)はGWASにおける集団構造を補正するための一般的かつ柔軟なアプローチとして登場したものである。本論文では、線形混合モデルを用いたアプローチを拡大適用して、相互に関係している表現型についてのGWASデータの分析を行った。すなわち、複数の形質に対して形質内分散成分と形質間分散成分の両方を同時に推定することが可能な、完全にパラメータ化された複数形質混合モデル(multi-trait mixed model:MTMM)を導き出したのである。本論文では、この新手法MTMMを用いて、ヒトのコホートの1つであるNorthern Finland Birth Cohort 1966から抽出した、相互に関係している血中脂質の形質についてのデータを解析した。その結果、複数の形質に影響を及ぼすゲノム領域(血中脂質関連座位)を検出する力が大幅に上昇していることが明らかになった。また、2つの異なる場所における開花時期を測定したシロイヌナズナArabidopsis thalianaのデータセットをMTMMで分析し、開花時期が環境に左右される原因に関係する座位を同定した。

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