Letter
感染症:医療関連感染症Clostridium difficile流行株の全世界への拡散
Nature Genetics 45, 1 doi: 10.1038/ng.2478
Clostridium difficile(クロストリジウム・ディフィシル)流行株(027/BI/NAP1)はこの10年間で急速に問題となり、世界中で抗菌薬関連下痢症の主要な原因となってきた。しかし、この菌株がどのように出現し、どのように世界中へ拡散していったかという進化的な過程についてはわかっていない。全ゲノムの塩基配列決定と進化系統学的な解析をもとに、C. difficile 027/BI/NAP1の世界的規模での集団構造を明らかにしたので報告する。これまで考えられていたことと異なり、1つではなく2つの独立した流行性の系統、すなわちFQR1とFQR2が、フロロキノロン耐性を持った同一の変異、および非常によく似た接合トランスポゾンとを獲得した後、比較的短期間のうちに北米で出現したことがわかった。これらの流行性の系統2つは、明確に異なるパターンで世界中に拡散していった。FQR2系統はより広く拡散し、英国、ヨーロッパ大陸、オーストラリアでは、医療関連感染として急速に拡散した。これらの解析から、流行性のC. difficile 027/BI/NAP1が大陸を横断するように急速に拡散していった重要な遺伝的な変化を明らかにすることができた。そして、世界の医療システムを通じて広がった道筋を明らかにした。