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膵炎:CPA1の多型は若年発症の慢性膵炎と強く関連する
Nature Genetics 45, 10 doi: 10.1038/ng.2730
慢性膵炎は膵臓の炎症性疾患である。我々は、カルボキシペプチダーゼA1をコードするCPA1について、発見段階としてドイツ人の非アルコール性慢性膵炎患者(症例)と対照群において解析し、次に3つのデータセットにおいて追試を行った。機能異常を引き起こす多型が、ドイツ人の944症例中29症例(3.1%)およびその対照群3,938例中5例(0.1%)に存在した[オッズ比(OR)= 24.9、P = 1.5×10−16]。この関連は10歳までに膵炎を発症した患者において最も強かった(9.7%、OR=84.0、P = 4.1×10−24)。追試データセットにおいては、機能異常を引き起こすCPA1遺伝子多様体が、ヨーロッパ系の600症例中8症例(1.3%)およびその対照群2,432例中9例(0.4%)(P = 0.01)、インド人の230症例中5症例(2.2%)およびその対照群264例中0例(P = 0.02)、日本人の247症例中5症例(2.0%)およびその対照群341例中0例(P = 0.013)に存在した。CPA1多型が膵炎のリスクを高める機構は、この疾患の他の遺伝的リスク要因に見られるような、トリプシンの過剰な活性化ではなく、CPA1の誤った折りたたみが誘発する小胞体ストレスに関与している可能性がある。