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結核菌:中国の結核菌(Mycobacterium tuberculosis)分離株161株のゲノム配列解読から薬剤耐性に関連する遺伝子および遺伝子間領域が明らかになる

Nature Genetics 45, 10 doi: 10.1038/ng.2735

多剤耐性(MDR)および超多剤耐性(XDR)の結核が世界的に出現したため、結核が不治の病になる恐れがある。薬剤耐性の機序は部分的にしか理解されておらず、また、結核菌における薬剤耐性の遺伝学的基盤についての現在の理解が、十分包括的なものであるかどうかは明確になっていない。本研究では、さまざまな薬剤耐性プロファイルを持つ分離株161株の塩基配列決定および解析を行い、薬剤耐性との強力な一貫した関連を示す、72個の新規遺伝子、28個の遺伝子間領域(IGR)、11個の非同義SNP、10個のIGR SNPを見いだした。今回同定された薬剤耐性関連遺伝子は、これらの分離株間の同義SNPに対する非同義SNPの比(dN/dS比)の検討に基づくと、これらの分離株において薬剤による選択圧の結果として生じた非同義SNPを原則的に全て含んでいると考えられるため、これらの分離株および抗生物質についての薬剤耐性関連遺伝子のほぼ完全なセットである可能性が示唆される。薬物耐性の遺伝学的基盤はこれまでに予想されていたより複雑であることを我々の研究は示しており、この研究は未知の薬剤耐性機構を解明するための強力な基盤になるものである。

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