Analysis
全がん解析:ヒトがん全体で発がんの特徴の全体像を明らかにする
Nature Genetics 45, 10 doi: 10.1038/ng.2762
がん治療は、分子レベルの発がん過程予測結果の多様性や、その結果の治療反応の多様性に直面している。がんゲノムアトラス(TCGA)のようなプロジェクトはこれまでになく詳細に分子がん地図を提供するが、これらの地図の解釈は容易ではない。今回、我々はがんで変化するたくさんの遺伝的およびエピジェネティックな特徴を約500の機能イベント(SFE)として抽出した。この単純化した記述により、12のがんのタイプから3,299のTCGAがんについての階層的な分類を得た。上位のクラスは、変異(Mクラス)、あるいはコピー数変化(Cクラス)のどちらかで特徴付けられる。この違いは極端なゲノム不安定性の場合に最も顕著で、異なる発がん過程の存在が示唆される。階層的に示された発がん特性クラスとして、複数の臓器に横断的ながんのグループに見られる典型的な機能的事象パターンが示される。あるがんのクラスでターゲットとなり得る機能的事象群から、クラス特異的な治療法の組み合わせが示唆される。これらの結果は臨床試験の定義において、個別化治療として実施可能な発がんの特徴を照合するのを助けるものとなろう。