加齢黄斑変性症:CFI、C3、C9におけるまれな遺伝子多様体は加齢黄斑変性症の発症リスク上昇に関連がある
Nature Genetics 45, 11 doi: 10.1038/ng.2741
加齢黄斑変性症(AMD)発症リスクにおける希少な遺伝子多様体の関与を明らかにするため、総数2,493の症例および対照群に対して、現在までに報告されている全てのAMD座位およびAMD関連経路に存在する681の遺伝子のエキソン塩基配列を決定した。まず、各遺伝子について、症例(AMD患者)と健常者(対照群)を比較して遺伝的荷重の増大、または減少が見られる希少変異について調べた。そして、対照健常者の2.3%、それに対してAMD患者の7.8%が、CFIの希少ミスセンス変異のキャリヤーであることを見いだした〔オッズ比(OR) = 3.6、P = 2×10−8〕。ここで症例においては、対照群と比較して、機能不全変異が優勢であった。続いて、個々の変異について疾患との関連を調べた。その結果、有意な関連を示す希少ミスセンス対立遺伝子をCFI以外の遺伝子に見つけた。すなわち、5,115の異なる試料を対象とした遺伝子型決定を行い、C3のp.Lys155Gln をコードしている対立遺伝子(関連確認解析における P = 3.5×10−5、OR = 2.8、発見・確認解析の合算時のP = 5.2×10−9、OR = 3.8)と、C9のp.Pro167Serをコードしている対立遺伝子(確認P = 2.4×10−5、OR = 2.2、合算 P = 6.5×10−7、OR = 2.2)が、 AMDと関連を示すことを確認した。そして、C3のGln155をコードする対立遺伝子の場合には、CFHおよびCFIによるタンパク質分解を介した補体経路活性化の抑制が起こらないことを示した。上記の結果は、AMDの発症機序として、C3タンパク質制御の喪失や補体活性化第2経路の過剰な活性化が考えられることを示唆しており、ひいてはこの疾患の、効果の方向と機構的な基盤の両方についての情報を与えるものである。