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シロイヌナズナ:シロイヌナズナの減数分裂交差ホットスポットは遺伝子プロモーターのH2A.Zヌクレオソーム領域と重なる

Nature Genetics 45, 11 doi: 10.1038/ng.2766

ヒトの減数分裂期における交差ホットスポットは、PRDM9の標的となる遺伝子間配列モチーフである。ところが出芽酵母のホットスポットは、遺伝子のプロモーター領域にあるヌクレオソーム形成頻度が低い(LND)領域と重複している。植物はPRDM9を欠く。本論文では、植物におけるホットスポットについてその詳細を調べるため、シロイヌナズナArabidopsis thalianaにおける遺伝子変異について合祖解析を行った。交差の頻度は遺伝子のプロモーター領域およびターミネーター領域に向かうにつれて増加していた。そしてホットスポットには、H2A.Z、ヒストンH3 Lys4トリメチル化 (H3K4me3)、LND、DNA低メチル化といった、活性型のクロマチン修飾が存在した。また、Aに富む配列およびCTT反復配列といったDNAモチーフの存在頻度が高いホットスポットがそれぞれ、転写開始部位の上流および下流に存在した。プロモーター周囲の交差は非対称に起こり、CTT反復モチーフおよびH2A.Zヌクレオソームの存在領域で最も頻度が高かった。花粉の遺伝子型決定、分離解析、細胞遺伝学的解析を行い、H2A.Zの蓄積に異常をきたしているarp6変異株においては、交差頻度がさまざまなレベルで減少していることを明らかにした。減数分裂期には、H2A.Zは染色体上の複数の部位に集積し、その部位は、組換え酵素であるDMC1およびRAD51の集積部と重複していた。arp6ではDMC1やRAD51の集積数が減少するため、H2A.Zは減数分裂期にDNA二本鎖切断の達成を促進している可能性がある。最後に、真核生物においてホットスポットの領域を指定しているのは、その祖先から変わらず遺伝子とクロマチンであり、この領域指定機構へのPRDM9の関与は脊椎動物において最近になって進化したものであると提案する。

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