Analysis
複雑な疾患:複雑な疾患の遺伝的構造の経験的な限界の評価
Nature Genetics 45, 12 doi: 10.1038/ng.2804
ヒト疾患の遺伝的構造は、遺伝的マッピングや将来の個別化医療の成功を左右する。ありふれた疾患の遺伝的基盤について調べた研究は非常に多いが、遺伝的構造の特徴については相反した仮説が提唱されてきた(たとえば、稀少バリアントと頻度の高いバリアントの貢献度の違い)。我々は、それらの仮説を系統的に検証するために、経験的データによって補正された統合的シミュレーションの方法を開発した。2型糖尿病(T2D)においては、2つの単純なパラメーター、すなわち(i)原因変異の標的サイズ、(ii)選択と表現型への影響との結合(カップリング)、が構造のかなりの範囲を決定していた。疫学、連鎖解析、ゲノムワイド関連解析の結合によって極端なモデルは除かれはするものの、多くのモデルは除かれず、稀少バリアントがT2Dの遺伝性をほとんど説明できない場合(< 25%)と、ほとんどが説明できる場合(> 80%)が含まれていた。現在進められている塩基配列決定や遺伝子型研究は、可能な構造の範囲を狭めるであろうが、T2Dやこれらのモデルによって特徴付けられる表現型の根底にあるほとんどの遺伝性を突き止めるには、非常に大きなサンプル(例えば任意抽出の個人 > 250,000)が必要とされる。