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胆管がん:エキソーム塩基配列決定から肝吸虫関連および非感染関連の胆管がんにおける異なる変異パターンが明らかになる
Nature Genetics 45, 12 doi: 10.1038/ng.2806
ヒト腫瘍において、異なる発がん性曝露が体細胞変異の特異的パターンに与える影響は明らかになっていない。この問題に取り組むために、肝吸虫であるタイ肝吸虫(Opisthorchis viverrini)感染によって引き起こされた108症例および非タイ肝吸虫関連の病因によって引き起こされた101症例を含む、アジアおよびヨーロッパの209例の胆管がん(CCA)のプロファイリングを行った。全エキソーム塩基配列決定(n = 15)および変異の保有率のスクリーニング(n = 194)から、BAP1およびARID1Aに頻発する体細胞変異が明らかになった。我々の知る限り、このどちらもCCAにおける変異はこれまでに報告されていない。肝内タイ肝吸虫関連および非タイ肝吸虫関連のCCAの比較から、変異パターンの統計的に有意な差が実証された。つまり、BAP1、IDH1、IDH2の変異は、非タイ肝吸虫関連CCAにおいてより高頻度に見られたが、TP53の変異は肝内タイ肝吸虫関連CCAにおいてより高頻度に見られた。機能研究から、BAP1およびARID1Aの腫瘍抑制機能が実証されたことから、CCAの発症機序にクロマチン修飾因子が役割を担っていることが確立される。これらの知見は、同じ腫瘍型内でさえ、異なる原因による病因が、異なる体細胞変化を引き起こす可能性を示している。