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大腸がん:POLEおよびPOLD1の校正ドメインに影響を与える生殖細胞系列変異により大腸の腺腫やがんにかかりやすくなる
Nature Genetics 45, 2 doi: 10.1038/ng.2503
多発性つまり大規模な大腸腺腫、あるいは早期発症型の大腸がん(CRC)の多くの患者には、既知のがん素因遺伝子に生殖細胞系列変異が検出されない。我々は、全ゲノム塩基配列決定を、連鎖解析や関連解析で補完することにより、いくつかの多発性腺腫および/あるいはCRCの症例において、POLEあるいはPOLD1に特異的なヘテロ接合性生殖細胞系列の変異体を同定した。これらの変異体は対照群では同定されなかった。感受性に関連するこれらの変異(POLE p.Leu424ValおよびPOLD1 p.Ser478Asn)は、浸透率が高く、また、POLD1の変異は子宮内膜がんのかかりやすさにも関連していた。これらの変異は、DNAポリメラーゼεおよびδの校正(エキソヌクレアーゼ)ドメインの同等な部位に位置決定されるため、DNA複製過程で挿入される、誤って対形成された塩基の修正異常を引き起こすと予測される。この予測と一致して、変異の保因者の腫瘍は、マイクロサテライト安定性であるが、酵母での機能解析で確認されたように、塩基置換変異を獲得する傾向があった。さらに報告されたデータの解析により、最近説明された高頻度変異がみられるマイクロサテライト安定性CRCグループは、POLEのエキソヌクレアーゼドメインに影響を与える体細胞性変異によって引き起こされると考えられることが示された。