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白血病:エキソーム塩基配列決定によりT細胞性急性リンパ芽球性白血病におけるCNOT3およびリボソーム遺伝子のRPL5とRPL10の変異が同定される
Nature Genetics 45, 2 doi: 10.1038/ng.2508
T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)は複数の発がん性変化の協調により引き起こされる。我々は、67例のT-ALLについてエキソームの塩基配列決定を行うことにより、これらの白血病の変異スペクトラムを理解する手がかりを得た。我々は508個の遺伝子においてタンパク質を変化させる変異を検出した(小児T-ALLにおいては平均8.2個の変異、また成人T-ALLにおいては平均21.0個の変異)。条件の厳しい選別を行い、T-ALLにおいて7個の新しい発がんドライバー遺伝子を予測した。CNOT3が腫瘍抑制因子であり、89例の成人T-ALLのうちの7例(7.9%)で変異がみられることを明らかにし、また、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の腫瘍感受性モデルでは、そのノックダウンにより腫瘍が引き起こされた。さらに、我々は122例の小児T-ALLのうちの12例(9.8%)にリボソームタンパク質のRPL5およびRPL10に影響を与える変異を同定した。また、RPL10のArg98に頻発する変化も同定した。Arg98Ser変異型のRPL10を発現する酵母およびリンパ系細胞は、リボソーム生合成異常を示した。我々のデータは、小児T-ALLと成人T-ALLの変異の全体像を理解する手がかりとなり、また、リボソームが発がん性要因である可能性を示すものである。