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ベーチェット病:全ゲノム関連解析によって明らかになった、ベーチェット病関連新規座位、およびHLA-B*51とERAP1との間のエピスタシス
Nature Genetics 45, 2 doi: 10.1038/ng.2520
ベーチェット病患者は、口腔および外陰部潰瘍、皮疹、ぶどう膜炎を主な症状とする、発作性の炎症を呈する。ベーチェット病に関連する座位を新たに見いだすため、統計的に推定された遺伝子型を含めた779,465個のSNPについて、トルコ人のベーチェット病患者1,209人および対照群1,278人を対象にしたゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。その結果新たに、CCR1、STAT4、KLRC4における関連を見つけた。さらに、ERAP1の2つのSNP(ERAP1 p.Asp575Asnおよび p.Arg725Glnを生じる)が、劣性遺伝モデルに基づく疾患リスク因子であることが判明した。これらの結果は、上記とは別のトルコ人1,468人および日本人1,352人、あるいはそのいずれか一方の集団で関連の再現性が確認された(統合メタ解析のP < 2×10−9)。さらに、HLA-B*51とERAP1との間の遺伝子相互作用を示す証拠を見つけた(P = 9×10−4)。また、CCR1およびSTAT4のバリアントでは遺伝子発現に違いが生じた。ベーチェット病発症リスク座位のうち3か所(MHCクラスI領域、ERAP1、IL23R、そしてMHCクラスI–ERAP1相互関係)は強直性脊椎炎および乾癬、さらに2か所(IL23R、IL10)は炎症性腸疾患と共通であった。このことは、ベーチェット病や脊椎関節炎を発症させる共通の経路が存在することを示唆するものである。