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神経芽腫:高リスクの神経芽腫の遺伝学的全体像
Nature Genetics 45, 3 doi: 10.1038/ng.2529
神経芽腫は、発達中の交感神経系の悪性腫瘍で、広範囲にわたる転移性疾患でみられることが多いため、生存率は50%未満である。高リスクの神経芽腫での体細胞変異の範囲を決定するため、Therapeutically Applicable Research to Generate Effective Treatment〔TARGET(効果的な治療確立のための治療に適応可能な研究)〕イニシアチブの一環として、全エキソーム、ゲノム、トランスクリプトームの塩基配列決定を組み合わせて用い、罹患者240例(症例)について研究を行った。我々は、神経芽腫では1Mbあたり0.60個と低頻度の中央値のエキソン内変異(1Mbあたり0.48個の非サイレント変異)がみられること、また、特に、変異が頻発する遺伝子がほとんどないことを報告する。体細胞変異の頻度が有意に高い遺伝子には、ALK(症例の9.2%)、PTPN11(2.9%)、ATRX(2.5%、および、さらに7.1%に局所的な欠失がみられる)、MYCN(1.7%、頻発するp.Pro44Leu変化を引き起こす)、NRAS(0.83%)が含まれる。まれな、病因となる可能性がある生殖細胞系列変異は、ALK、CHEK2、PINK1、BARD1に有意に多く存在した。神経芽腫において頻発する体細胞変異が相対的に少ないことは、高頻度に変化がみられる発がん性ドライバーに依存する現在の治療戦略に疑問を投げかけるものである。