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乳がん:大規模遺伝子型解析によって41の乳がん発症リスク関連座位を新たに同定
Nature Genetics 45, 4 doi: 10.1038/ng.2563
乳がんは女性に最も多いがんである。乳がん感受性に関連する高頻度の遺伝子多様体が27の座位に同定されている。乳がん患者の約9%が、これらの遺伝子多様体を原因とする家族性の乳がんを発症している。本論文では、ヨーロッパ系の乳がん症例10,052症、対照12,575例を対象にした、9種類のゲノムワイド関連解析(GWAS)のメタ解析を行った。このうち29,807のSNPを選択し、遺伝子型判定(SNPタイピング)を行った。これらのSNPは、乳がん連合コンソーシアム(Breast Cancer Association Consortium:BCAC)に寄せられた、ヨーロッパ系症例45,290例、対照41,880例を対象とした41のGWASの結果から選択した。SNPのタイピングは4つのコンソーシアムの共同研究(COGS)の一環として、20万以上のSNPを搭載したイルミナ社のカスタムiSelectタイピング用アレイ(iCOGS)を用いて行った。その結果、ゲノムワイドの有意性を示す(P < 5 × 10−8)41の乳がん感受性座位を新たに同定した。さらに詳細に解析したところ、乳がん発症リスクにはこれら以外に、1,000以上の座位が関係していることが示唆された。