Article 遺伝地図:集団混合を利用してヒトゲノムの遺伝地図を完全なものとする 2013年4月1日 Nature Genetics 45, 4 doi: 10.1038/ng.2565 ヒトゲノムのユークロマチン領域にはゲノム上の位置が判明していないものが大量にある。それらには、タンパク質をコードする遺伝子も含まれる。本論文では、遺伝地図に書き込めないこのような配列について、ヒト集団の混合によってもたらされたゲノム配列の多様性のパターンから特定するという解析方法を見つけたので報告する。その結果、これまでは所在が明らかでなかった400万塩基対におよぶ70のスキャフォールドのヒトゲノムのユークロマチン領域の配列の位置を確認した。そのなかには、タンパク質をコードする遺伝子が10以上含まれている。その結果、染色体間で重複がみられる8つの大きなゲノム断片(染色体間断片重複)を新たに同定した。そして、このような配列の大半は、ヒトゲノムのヘテロクロマチン領域、特にセントロメア周辺に「隠れて」存在していることを見つけた。さらに、セントロメア周辺に存在する「隠れ遺伝子」(cryptic gene)の多くがRNAに転写されており、その発現パターンはゲノム上の別の場所にあるパラロガス遺伝子と異なるものの、数100万年にわたってその状態が変わらず保たれていることを明らかにした。このような配列がゲノム上で占める位置に関する知見から、疾患関連性およびゲノム構造と機能についての情報がもたらされることが期待される。 Full text PDF 目次へ戻る