タケ類は、森林に由来する主要な草本系統として唯一のものであり、非木材森林産物として世界的にきわめて重要である。しかし、タケ亜科にはゲノム配列が解読された種が存在しない。本論文では、モウソウチク(P. heterocycla var. pubescens)の高品質の概要ゲノム配列を示す。組み立てた2.05 Gbの配列は、ゲノム領域の95%を網羅している。遺伝子予測モデルによって遺伝子が31,987個発見され、その多くはcDNAおよび高深度RNA塩基配列決定データによって支持されている。クラスター遺伝子ファミリーおよび遺伝子共直線性の解析により、タケ類には700~1,200万年前に全ゲノムの重複が生じたことが明らかにされた。細胞壁生合成に重要な遺伝子ファミリーが同定され、タケのシュート発生に関与する遺伝子重複が全ゲノム重複事象によってさらに生じたことが示唆された。タケの開花組織のRNA塩基配列決定結果を解析したところ、乾燥応答性遺伝子と開花遺伝子との間に関係がある可能性が示唆された。