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ロア糸状虫ゲノム:ボルバキア非共生の、ヒト寄生フィラリアの一種であるロア糸状虫のゲノム解析
Nature Genetics 45, 5 doi: 10.1038/ng.2585
ロア糸状虫Loa loaはAfrican eyewormともいい、ヒトに寄生する主なフィラリア(糸状虫)病原体の1つである。大部分のフィラリアとは異なり、ロア糸状虫は絶対細胞内部共生体ボルバキアを含んでいない。本論文では、ロア糸状虫の91.4Mbのゲノムと、その近縁フィラリア寄生虫であるバンクロフト糸状虫Wuchereria bancroftiのゲノムについて特性解析するとともに、ミクロフィラリアのRNA塩基配列決定をもとにして14,907個のロア糸状虫遺伝子を予測した。これらのゲノムと、別のフィラリア寄生虫であるマレー糸状虫Brugia malayiのゲノム、およびいくつかのフィラリア以外の線虫類のゲノムとの比較解析を行ったところ、フィラリア間においてはシンテニーが認められたが、寄生虫ではない線虫類とではシンテニーは認められなかった。ロア糸状虫のゲノムは免疫応答にかかわる遺伝子や、ヒトへの使用が最近認可された治療薬の標的タンパク質キナーゼをコードしていた。ロア糸状虫はボルバキアを含んでいないが、他のフィラリアと比較して、代謝における合成や輸送についての新たな能力を示すことはなかった。上記の結果から、ボルバキアがフィラリアの生態に果たす役割はこれまでに想定されていたよりは小さいものであることが示唆される一方で、寄生する線虫類と寄生しない線虫類との明確な違いが明らかになった。