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非近交系ラット:塩基配列解析と遺伝学的地図作成を組み合わせてアウトブレッド(非近交系)ラットの多因子形質を読み解く
Nature Genetics 45, 7 doi: 10.1038/ng.2644
塩基配列が全て解読された個体の遺伝学的地図を作成することで、分子的な多様性と多因子形質の多様性との関係についての理解が一変しつつある。本論文では、アウトブレッド(非近交系)ラットの塩基配列と遺伝学的地図を合わせて解析することで、122の表現型に対する355の量的形質座位の位置を決定したので報告する。そして、31の多因子形質表現型に関与する35の原因遺伝子を特定した。この結果は、不安症、心疾患、多発性硬化症のモデル形質における新規遺伝子の関与を暗示するものであった。配列と遺伝的多様性との関係は予想以上に複雑であった。すなわち、量的形質座位のおよそ40%において、単一の塩基配列多様体では表現型の多様性を説明できなかった。さらに、マウスの塩基配列および遺伝学的地図の解析データとの比較を行い、近交系ラットにおいて塩基配列に生じた変異の度合いや分布パターンが近交系マウスのものとは大幅に異なること、および、オーソログ遺伝子の遺伝子多様体が両方の生物種において同じ表現型をもたらすことはまれにしかないことを明らかにした。