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DNAメチル化:特定の転位因子ファミリー内のDNA低メチル化は組織特異的エンハンサーの全体像に関連している
Nature Genetics 45, 7 doi: 10.1038/ng.2649
転位因子(TE)由来の配列は、ヒトゲノムおよびDNAメチロームの半分を構成しており、高密度にメチル化され、不活性化されていると考えられている。ヒトの胚組織および成体組織において928個のTEサブファミリー内のゲノムワイドなDNAメチル化状態を検討し、意外なことに、組織特異的かつサブファミリー特異的な低メチル化シグネチャーを同定した。組織特異的な低メチル化TE配列の近位にある遺伝子は、関連する組織型に重要な機能を持つ遺伝子が多く、また、その発現はTE内の低メチル化と強く相関した。これらのTE配列は、低メチル化状態では、ヒストンH3リシン4のモノメチル化(H3K4me1)やp300による占有を含む、組織特異的エンハンサーの標識を獲得しており、その大部分がレポーター遺伝子アッセイでエンハンサー活性を示した。そのようなTEの多くには、組織特異的な機能に重要な転写因子の結合部位も存在し、進化的選択の証拠を示した。これらのデータは、TE由来の配列が、組織型特異的な調節ネットワークの配線を担っている可能性と、組織特異的なエピジェネティック調節を獲得している可能性を示唆している。