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うどんこ病:コムギうどんこ病菌ゲノムは絶対寄生植物としての独特の進化を示す

Nature Genetics 45, 9 doi: 10.1038/ng.2704

コムギうどんこ病菌(Blumeria graminis forma specialis tritici)は深刻な被害をもたらす菌類病原体であるが、進化的な歴史はほとんど知られていない。今回、我々はコムギうどんこ病菌の概要ゲノム配列を報告する。ここでは、異なる地域から単離した3系統についての塩基配列再決定およびオオムギのうどんこ病菌ゲノムとの比較解析を行った。我々は比較ゲノム解析により602の候補エフェクター遺伝子を同定した。これらは正の選択の証拠を多く示している。我々はゲノムの多様性パターンの特徴付けを行った。そして、うどんこ病菌のゲノムは小麦の栽培以前から存在する祖先のハプログループのモザイクであることを提案する。現在の単離株における多様性のパターンは、1万年前に新しいホストであるパンコムギが成立した際にゲノムの多様性の著しい減少が起きなかったことを示している。コムギうどんこ病菌の新しいホスト生物種への迅速な適応は、病原性の変化を可能にする遺伝的な潜在能力は多様性のあるハプロタイププールに基づいていると結論付ける。

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