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調節配列:哺乳類の調節配列の大量並列解読は柔軟性のある組織モデルを裏付ける
Nature Genetics 45, 9 doi: 10.1038/ng.2713
脊椎動物の調節配列をカタログ化する継続的な歩みにもかかわらず、その編成と調節構造についてはほとんど分かっていない。今回、我々は遺伝子発現の際の転写因子結合部位についてコピー数、間隔、組み合わせ、順番の影響を体系的に検証するための大量並列実験について報告する。12の肝臓特異的な転写因子結合部位パターンを含んでいる合成調節配列約5,000からなるライブラリーを用いて、マウスおよびHepG2細胞で測定を行った。相乗的にのみ機能する転写因子がある一方で、いくつかの転写因子は結合部位の間隔とは無関係に、同型の結合部位クラスター内で遺伝子発現を直接に駆動しているようふるまうことを見いだした。同じタイプのエンハンサーよりも、異なるタイプのエンハンサーのほうにおいて強い作用が見られ、本来の推定エンハンサー配列を模倣する特定の転写因子結合部位の組み合わせが特に有利に作用した。結合部位の順列についての包括的な測定により、結合部位の順番には柔軟性があることが示唆された。我々の発見は調節配列の活性が柔軟性を持つというモデルを量的側面から裏づけるものであり、合成された組織特異的なエンハンサーを設計するうえでのフレームワークを示唆するものである。