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イネ:DEEPER ROOTING 1による根系構造の制御が干ばつ条件下のイネの収量を増加させる
Nature Genetics 45, 9 doi: 10.1038/ng.2725
干ばつが起こりやすい地域で十分な作物を安定的に生産するためには、干ばつ耐性の遺伝的改良が重要である。今回我々は、イネの根の伸長角度を制御する量的形質遺伝子座DEEPER ROOTING 1(DRO1)のクローニングおよび特性解析を行い、根系構造の改変で干ばつ回避性が高まることを明らかにした。DRO1はオーキシンによって抑制され、根端の細胞伸長に関与することにより、根の非対称的な伸長および重力に反応した下方への屈性を生じさせている。DRO1を高発現させると根の伸長角度が大きくなり、根はより下方に向かって伸長する。DRO1を戻し交配によって浅根性のイネ品種に導入すると、得られた系統は根を深く伸長させることによって干ばつを避け、干ばつ下で親品種を上回る収量性を維持した。今回の実験は、根系構造の制御が作物の干ばつ回避に寄与することを示唆している。