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てんかん:後天性てんかん性失語症およびその関連疾患である言語障害を伴う小児期焦点性てんかんとてんかん性脳症に見つかったGRIN2A変異

Nature Genetics 45, 9 doi: 10.1038/ng.2726

てんかん性脳症は、てんかんによって引き起こされた認知および行動における障害が経時的に悪化していく、重度の脳疾患である。後天性てんかん性失語症(ランドウ‐クレフナー症候群:LKS)および徐波睡眠時持続性棘徐波を示すてんかん症候群(CSWSS)は、小児期焦点性てんかん性脳症の代表的な疾患で、発症原因が不明の類似した希少疾患である。これらの疾患とローランドてんかん(最も発症頻度の高い小児期焦点性てんかん)には電気的な特徴に一致する部分があり、てんかん、言語障害、認知障害、行動障害が交わったところに位置する病理学的に同一な臨床症状の異なる疾患であると考えることができる。本論文では、LKS、CSWSS、脳波に非定型な異常が出現して発話障害を伴うことが多いローランドてんかんの症例のうちおよそ20%が、GRIN2Aの新生変異もしくは遺伝性変異によって保持される遺伝的な原因を持つ可能性があることを明らかにした。なお、GRIN2AN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)型グルタミン酸受容体α2サブユニットであるGluN2Aをコードしている。これらのてんかん性脳症の重要な原因遺伝子としてGRIN2Aが同定されたことは、その病態生理を解明するうえでの重要な手がかりとなるであろう。

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