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感染症:嚢胞性線維症患者の病原菌に観察される遺伝的多様性は選択圧の記録である

Nature Genetics 46, 1 doi: 10.1038/ng.2848

塩基配列決定技術の進歩によって、感染の際に病原菌が獲得した突然変異の同定が可能になった。しかし患者において、適応変異が病原菌集団に固定するのか、あるいは適応変異が病原菌に遺伝的多様性をもたらすのかは、依然として明らかになっていない。本研究では、嚢胞性線維症患者一人一人で観察される日和見感染原因菌Burkholderia dolosa(ブルクホルデリア・ドローサ)の遺伝子型の多様性について、単一の喀痰標本由来の個々のコロニーおよび全コロニー(集団)の菌DNAを塩基配列再決定することで調べた。その結果、各標本において遺伝子型が極度に多様であることが分かった。この結果は、変異が患者の病原菌集団に固定することはまれであり、その代わりに、複数の系譜が長期にわたって同時に存在することを示唆している。強力な選択圧のもとでは多数の適応変異が生じるが、このような変異は固定に至ることはなく、対立遺伝子の多様性が過去の選択の記録として続いているのである。細胞壁外膜構成成分、鉄捕捉、抗生物質耐性に関与する遺伝子群の全てにおいて、このような患者一人一人の病原菌に起こった選択の証拠が見つかった。上記の結果は、個々の患者の病原菌に影響を与える選択圧を同定するための、個別の臨床標本を利用した一般的かつ迅速的な研究方法を提示するものである。

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