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ミツバチ:世界規模のゲノム配列多様性から、セイヨウミツバチApis melliferaの進化過程についての手掛かりを得る

Nature Genetics 46, 10 doi: 10.1038/ng.3077

セイヨウミツバチApis melliferaは生態系にとって重要な生物種であり、経済上も重要性が高い。今回、世界中から収集した14集団の試料から140のミツバチ(働きバチ、ワーカー)ゲノムを得て、合計の総読み深度(カバレッジ)634倍で塩基配列決定を行った。そして830万個のSNPを同定し、そこに見られる遺伝的多様性のパターンを詳細に解析した。これらのデータから、この生物種の進化的歴史や局所適応の遺伝的基盤についての手掛かりが得られた。まず判明したのは、過去の気候変動を反映して、セイヨウミツバチの集団サイズはこれまで大きく変動してきたが、現生種の集団は高い遺伝的多様性を示しており、飼育(養蜂)を原因としたボトルネック(個体数の激減)が起こっていないことが示唆されることであった。遺伝的多様性のレベルは自然選択によって大きく影響を受け、さらに遺伝子発現やDNAメチル化のパターンに高度に関連していた。また、セイヨウミツバチの局所適応に関係する特徴的なゲノム構造が明らかになった。すなわち、働きバチで高い発現が認められる遺伝子群、免疫系や精子の運動性に関わる遺伝子群が、ミツバチの生殖、分布、疾患抵抗性における地理的変異を生じさせている可能性が考えられる。本研究が、病原体および気候変動に対するミツバチの応答についての今後の研究のためのフレームワークとなることが期待される。

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