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前立腺がん:87,040人のメタ解析から新たに明らかになった23の前立腺がん感受性座位
Nature Genetics 46, 10 doi: 10.1038/ng.3094
前立腺がんの発症リスクと関連する76の遺伝子多型(SNP)が、ゲノムワイド関連解析によって、主にヨーロッパ系集団において同定されている。この一般的ながんに対する感受性座位をさらに明らかにするため、1000万個以上のSNPについて、ヨーロッパ、アフリカ、日本、ラテンアメリカ系祖先集団の解析データから抽出した前立腺がん患者43,303人および対照群43,737人に対してメタ解析を行った。その結果、P値が5×10−8以下の強い関連を示す、23個の新規感受性座位が見つかった。15個のSNPはヨーロッパ系の男性、7個のSNPは複数の異なる祖先集団を合わせた解析で同定された。1個のSNPは早期発症型前立腺がんに関連を示した。これらの23個のSNPは既知の前立腺がん発症リスクSNPとともに、ヨーロッパ系集団における前立腺がんの家族性発症リスクの33%を説明している。今回の研究成果は、前立腺がんの発症機序の解明に向けた新たなゲノム領域についての知見を提供し、祖先が異なる集団を合算して疾患リスク座位を検出する有用性をはっきりと示すものである。