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身長:成人の身長に関するゲノムおよび生物学的構造について、一般的な配列多様性の役割を明らかにする
Nature Genetics 46, 11 doi: 10.1038/ng.3097
253,288人から得られた成人の身長に関するゲノムワイド関連解析のデータから、ゲノムワイドに有意な関連を示す697個の遺伝子多様体(バリアント)を同定した。これら全体で、この形質の遺伝率の5分の1を説明した。得られた関連の数が異なる別個の解析を検証することによって、最も強い関連を示す約2,000、3,700、9,500のSNPが、表現型の分散(ばらつき)の約21%、24%、29%をそれぞれ説明することを明らかにした。また、頻度の高いものを合計すると、遺伝率の60%を説明できた。同定した697個は、423のゲノム領域でクラスターを形成していた。これらは、骨格成長への関与が知られている遺伝子や経路(生物学的過程)、組織型に多く存在し、これまでの関連解析で明らかにされていない遺伝子や経路のものも多かった。そのような例として、繊維芽細胞増殖因子、WNT/βカテニン、コンドロイチン硫酸に関連する遺伝子群のシグナル伝達がある。また、今まではヒトの骨格成長と関連付けられることがなかったいくつかの遺伝子や経路も同定した。それらには、mTORシグナル伝達、オステオグリシン、ヒアルロン酸の結合がある。今回の研究結果は、ヒトの身長に対する遺伝的基盤に、その原因となる遺伝子多様体の数はきわめて多いものの、一定数を超えない(数千)という特徴があることを示すものである。