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コイのゲノム:コイのゲノム配列と遺伝的多様性
Nature Genetics 46, 11 doi: 10.1038/ng.3098
コイ(Cyprinus carpio)は最も重要なコイ科の種の1つで、世界的には淡水養殖魚生産量の10%の割合を占めている。本論文では、養殖系統のコイ(Songpu系統)の概要ゲノム配列を報告する。現在のゲノム配列アセンブルには、52,610個のタンパク質をコードする遺伝子が含まれている。コイゲノムは過去に4倍体化している(2n=100)が、今回の解読では、そのおよそ92.3%がカバーできている。直近の一連の全ゲノム重複はおよそ820万年前に起きたと見積もられた。全世界の集団を代表する33匹の個体について、ゲノムのリシークエンス(配列再解読)を行ったところ、コイが単一の祖先を持つことが示された。2つの亜種(C. carpio HaematopterusおよびC. carpio carpio)において、ゲノムとトランスクリプトームの統合的な解析を行ったところ、うろこのパターンや皮膚の色などの形質に関連する可能性のある遺伝子座が見つかった。今回得られた概要ゲノム配列は、高解像度の遺伝子地図と組み合わせることにより、より良い分子生物学的研究の助けとなり、コイや他の近縁種のゲノム情報を用いた繁殖を行うための土台ともなるものである。