Technical Report
遺伝的バリアント:単一のヒトゲノムにおける包括的な変異の発見
Nature Genetics 46, 12 doi: 10.1038/ng.3121
個人のヒトゲノム中に見られる遺伝的な多様性を完全に理解することは、疾患の原因を解明する上で極めて重要な土台となる知識である。遺伝的な多様性は典型的には、個人ゲノムを配列決定し、参照配列と読んだリードを比較することにより明らかになる。およそ90%の部分でヒトゲノム中に変異(バリアント)を検出する既存の手法は、好成績なものといえる。しかしながら、残りの10%のゲノムについて(大部分は低い複雑度の配列や断片重複)、バリアントをコールするのは困難な作業である。バリアントのコールを改良するために、我々は新しいアルゴリズムDISCOVARを開発した。そしてそのパフォーマンスを、改良した低コストの配列決定データで確認した。ランダムに選んだフォスミド103個の配列を解読し、その配列からバリアントの参照セットを新しく作成し、それを用いることによって、標準的なバリアントコールセットで変異の見逃しが25%にまで達することを見いだした。我々は、新しい手法とデータ改良を組み合わせることによって、感度を数倍上げることを可能にし、これにより、アプローチが難しいヒトゲノムの領域の解析を大いに進めることができることを示した。