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てんかん:シナプス前タンパク質をコードするSTX1Bの変異は、発熱と関連して発症するてんかん症候群を引き起こす
Nature Genetics 46, 12 doi: 10.1038/ng.3130
熱性けいれんは乳幼児の2〜4%に見つかり、遺伝的要因が強い。主に3つの遺伝子(SCN1A、SCN1B、GABRG2)に見つかる頻発性変異が、てんかんを併発するかしないかにかかわらず、熱性けいれんを引き起こすことが明らかにされている。本論文では、シンタキシン1B6(syntaxin-1B6)をコードするSTX1Bに、熱性けいれんにもてんかんにも関連する変異を同定したことを報告する。独立した大規模家系を対象に全エクソーム解析を行い、共分離するSTX1B変異を特定した。これらの変異によって、早期短縮、もしくはインフレームにおける挿入あるいは欠失が生じると推定された。さらに家族性および散発性の症例449例において、ナンセンスないしはミスセンス変異3つ、STX1B全体が含まれるde novo微小欠失1つを同定した。ゼブラフィッシュの幼生に対するstx1bのアンチセンスノックダウンの影響をビデオ解析および局所電場電位解析によって観察したところ、けいれん様のふるまいやてんかん型放電が見られた。この現象は、温度上昇に対して極めて敏感であった。ゼブラフィッシュにおけるstx1bノックダウンの効果は、ヒトの野生型シンタキシン1Bによって相殺されるが、変異型シンタキシンではされなかった。従って今回の研究結果は、発熱によって発症するてんかん症候群に、STX1Bとシナプス前放出機構が関係することを示すものである。