Technical Report

変異の機能解析:がんネットワークを作成するための生物物理ならびにゲノムのデータを組み込んだマルチスケールの統計力学法

Nature Genetics 46, 12 doi: 10.1038/ng.3138

ゲノムの多様性が機能にどのように関わるかを解釈することは、ヒト疾患を理解する上で必須であるが、特定の変異がタンパク質相互作用ネットワークにどのような効果を及ぼすかや、それらが制御する表現型は何かを予測することは依然として困難である。正常およびがん細胞におけるヒトSH2リン酸化タンパク質ネットワークをモデル化するための解析手法として、ゲノミクスと生物物理学的データを組み込んだマルチスケール統計力学に基づく方法について報告する。この方法をがんゲノムアトラス(TCGA)のデータに適用して、実験的にモデル予測を行ってみた。リン酸化タンパク質にマップされる変異は、新しい相互作用を生み出すことが多いこと、また、SH2ドメインを変えるような変異はほとんど例外なく相互作用喪失を来すことを見つけた。これらのうちあるものは相互作用の全てを失わせるが、多くは選択的な消失をもたらし、それによって高度に結び合ったサブネットワークの特定局面の配線換えを引き起こす。ゲノム、構造、生化学的データを統合することにより、我々の方法は遺伝的多様性を解釈するための新しいアプローチの1つとなる。

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