Analysis

がん:14種類のがんを対象とした、非コード体細胞性変異と遺伝子発現変化についての網羅的解析

Nature Genetics 46, 12 doi: 10.1038/ng.3141

がんで見つかる体細胞性変異のうち、非コード領域に存在するものについては解析があまり進んでいない。唯一の例外が、最近行われたTERTの調節DNA領域における活性化変異の同定である。このタイプの変異が見つかったことから発がん遺伝子の活性化についての一般的な機序が示唆されるものの、 この仮説の検証はまだ行われていない。本論文では、14種類にわたるがん由来の505の腫瘍ゲノムにおいて体細胞性変異のマッピングを行い、調節領域の変異とRNAレベルの変化の関連を網羅的にスクリーニングしたことを報告する。その結果、いくつかの遺伝子にプロモーター変異の頻発が見られたが、TERTの変異は並外れており、遺伝子発現上昇との強い関連がゲノムワイドに有意に見られた。さまざまながんでTERTについて詳細に検討したところ、発現上昇との関連の強さはがんの種類によって大きな開きがあり、コピー数が変化しない甲状腺がんのようながんで最も強い関連が見られることが分かった。また、TERTのプロモーターに生じた変異が、近傍に存在するCLPTM1Lの発現を制御することが示唆された。今回の研究によって、さまざまなタイプのがんにおけるTERTによる転写活性化についての詳しい知見が得られたが、TERTに勝る頻発性発がんプロモーター変異に関する明らかな証拠は見つからなかった。

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