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非コードRNA:新生RNAの解析から哺乳類のプロモーターおよびエンハンサーでの転写開始領域の共通の構造が明らかになる
Nature Genetics 46, 12 doi: 10.1038/ng.3142
プロモーターとエンハンサーは慣習的に区別されているが、哺乳類においては、転写開始能の両方向性や転写因子結合様式の類似など、多くの特徴が共有されている。本論文では、ENCODE Tier 1細胞株のヒトBリンパ芽球細胞株(GM12878)および慢性骨髄性白血病細胞株(K562)において、転写開始部位(TSS)の包括的マッピングに基づき、転写開始の構造について検討した。安定な転写産物と不安定な転写産物の両方のTSSを捕捉する、GRO-capと呼ばれる核ランオンアッセイのプロトコルを用いて、ヒト細胞の数千個のプロモーターとエンハンサーについて詳細な比較を行った。これらの解析から、プロモーターおよびエンハンサーのTSSでは、両方向に転写が起こるTSSは近接していること(TSS間の距離は平均110 bp)、コアプロモーター配列要素の頻度は同様であること、TSSに隣接するヌクレオソームは非常に厳密に位置決定されていること、およびTSSでの転写因子結合には2つの様式があるといった共通の転写開始構造が明らかになった。プロモーターとエンハンサーは、ヒストン修飾のパターンや転写因子あるいはコアクチベーターの会合よりも、転写開始後の転写産物の安定性によって基本的に区別される。これらの結果は、プロモーターおよびエンハンサーでの転写開始には統一されたモデルがあることを裏付けている。