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腸チフス:HLA-DRB1のバリエーションは腸チフス抵抗性に関連する
Nature Genetics 46, 12 doi: 10.1038/ng.3143
腸チフスは、チフス菌(Salmonella enterica serovar Typhi)、あるいはパラチフスA菌、B菌ないしはC菌(Salmonella enterica serovar Paratyphi pathovar A、B、C)の全身感染によって引き起こされ、毎年2,500万人以上が罹患している。我々は、ベトナムの血液培養で腸チフスが確認された432人と対照群2011人について、ゲノムワイド関連研究を行った。その結果、rs7765379に強い関連が観察された〔rs7765379のマイナー対立遺伝子のオッズ比(OR)=0.18、P=4.5x×10−10〕。このマーカーは、HLA-DQB1とHLA-DRB1に隣接したHLAクラスII領域に位置する。この関連は、ネパールの腸チフス症例595人および対照群386人において追試され、また、ベトナムの別な独立した症例151人および対照群668人からなる試料においても追試され、再現性が確認された。コンピューターによる推定を基盤として、MHC領域を広範囲にわたって詳細にマッピングを行うと、古典的なHLA-DRB1*04:05対立遺伝子がrs7765379での関連を完全に説明できることがわかった(OR=0.14、P=2.60x【記号、かける】10−11)ことから、HLA-DRB1は、腸チフスに対する抵抗性に寄与する主要な因子であり、おそらく抗原提示を介して作用することが示唆された。