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減数分裂の組換え:ユビキチンリガーゼHEI10とSUMOリガーゼRNF212の拮抗的な役割によって減数分裂期の組換えは調節を受ける
Nature Genetics 46, 2 doi: 10.1038/ng.2858
減数分裂期、交差による組換えを経て、相同染色体は正確に分配される。哺乳類においては、詳細がいまだ明らかでない調節過程によって、各相同染色体間で少なくとも1回の交差型組換えが起こるが、ほとんどの組換え部位ではそれが起こらないようになっている。特定の部位で交差が起こるのはSUMOリガーゼRNF212が、一部の組換え部位に選択的に局在していることと関係している。RNF212はこのような部位でMutSγなどの減数分裂期組換えに関連する因子を安定化している。本論文では、ユビキチンリガーゼHEI10(CCNB1IP1ともいう)が、交差が起こる部位か否かを区別する過程に必須であることを示す。HEI10欠損型マウスにおいては、RNF212は組換え部位のほとんどに存在しており、しかも、RNF212およびMutSγの染色体からの分離は阻害されている。結果的にHEI10が欠損すると、組換えは妨害され、交差は起こらない。野生型マウスでは、HEI10が特定の交差部位に集積している。この知見は、HEI10が交差の過程の後期にも関与することを示している。RNF212の場合と同様に、HEI10の量に比例して交差が起こることから、HEI10が交差の律速因子(制限因子)であることが示唆される。上記の結果は、SUMOおよびユビキチンが減数分裂組換えの際に相反する役割を果たし、両者がバランスを保つことで交差の起こる部位および起こらない部位における組換え因子の安定化に違いを生じさせるという可能性を示すものである。