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白血病:ヒトの急性白血病におけるSETD2の機能的協調変異の同定
Nature Genetics 46, 3 doi: 10.1038/ng.2894
染色体再構築を特徴とする急性白血病は、完全な悪性に進展するためには、さらなる分子レベルの異常が起こることを必要とするが、このような事象が協調的に起こる機構は分かっていない。本論文では、MLL(KMT2Aとも呼ばれる)遺伝子の再構築に関して不一致の一卵性双生児白血病患者1組の全ゲノム塩基配列決定を用いて、形質転換を引き起こすMLL-NRIP3融合遺伝子および、SETD2(ヒストンH3K36メチルトランスフェラーゼをコードする)の両対立遺伝子性変異を同定した。また、SETD2の機能喪失性点変異は急性白血病患者241人において頻発(6.2%)しており、複数の主要な染色体異常に関連していた。SETD2変異を伴った白血病芽細胞ではH3K36トリメチル化(H3K36me3)の全体的な喪失が観察された。遺伝的異常が存在すると、SETD2の下方制御は、白血病幹細胞の自己複製能を促進することによって、白血病進展過程における開始および進行の両方に寄与した。従って、我々の研究は、SETD2が新しい腫瘍抑制因子であるという説得力のある証拠を示している。SETD2-H3K36me3経路の破壊は、白血病進展における別個のエピジェネティックな機構である。