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糖尿病:SLC30A8の機能喪失性変異は2型糖尿病を防御する

Nature Genetics 46, 4 doi: 10.1038/ng.2915

ヒト疾患の防御的な機能喪失性変異は、in vivoでの治療標的の検証になるが、2型糖尿病(T2D)についてはこのような変異はこれまで報告されていない。5つの祖先群にわたる約150,000人について塩基配列決定あるいは遺伝子型タイピングを行うことにより、SLC30A8において12個のまれなタンパク質短縮型変異体を同定した。SLC30A8は、膵島の亜鉛トランスポーター(ZnT8)をコードしており、T2Dのリスクおよびグルコースやプロインスリンのレベルに関連する一般的な変異体(p.Trp325Arg)が明らかになっている。本論文では、タンパク質短縮型変異体の保有者はT2Dのリスクが65%低下しており(P=1.7×110−6)、また、フレームシフト変異体(p.Lys34Serfs*50)を持つ非糖尿病アイスランド人はグルコースレベルが低下していることが実証された(−0.17 s.d.、P=4.6×110−4)。2個の最も一般的なタンパク質短縮型変異体(p.Arg138*およびp.Lys34Serfs*50)は、個別にT2D防御に関連し、また、不安定なZnT8タンパク質をコードする。これまでのSLC30A8についての機能的な研究から、亜鉛輸送の低下がT2Dリスクを上昇させることが示唆されており、また、表現型の異質性がSlc30a8ノックアウトマウスにおいて観察されている。対照的に、ヒトにおける機能喪失性変異は、SLC30A8のハプロ不全がT2Dを防御する強力な証拠になることから、ZnT8の抑制がT2D予防の治療戦略になることが示唆される。

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