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T細胞リンパ腫:血管免疫芽球性T細胞リンパ腫におけるRHOA GTPアーゼに頻発する不活化変異
Nature Genetics 46, 4 doi: 10.1038/ng.2916
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL、一般的な成熟T細胞リンパ腫で予後は不良)の基礎となる分子機構はほとんど分かっていない。本論文では、AITL患者由来試料のエキソームおよびトランスクリプトームの配列決定により、RHOAに頻発する体細胞変異(p.Gly17Valをコードする)について報告する。さらに239例のリンパ腫試料においてp.Gly17ValをコードするRHOA変異について検討すると、この変異はT細胞リンパ腫に特異的で、B細胞リンパ腫には見られないことが分かった。我々は、複数の分子アッセイにより、p.Gly17ValをコードするRHOA変異〔検討したAITL症例の53.3%(45例中24例)に見られた〕には実際に発がん性があることを実証できた。分子モデル化および複合体構造予測から、RHOA Gly17Val変異体のGTPアーゼ活性喪失の構造的基盤に関する情報が得られた。我々の実験データおよびモデル化の結果は、p.Gly17ValをコードするRHOA変異がAITLのドライバー変異であることを示唆している。これらのデータを基盤とし、また統合パスウェイ解析により、AITL発がんの包括的なシグナル伝達ネットワークを構築することができた。