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末梢血とeQTL:末梢血における遺伝子発現についての遺伝力ならびにゲノム特性解析
Nature Genetics 46, 5 doi: 10.1038/ng.2951
双生児2,752人における末梢血の遺伝子発現プロファイルを、旧来の双生児法による遺伝子発現の遺伝力の数値化と、量的形質座位(eQTL)を組み合わせた解析によって検討した。最も強く遺伝力を示す遺伝子群(およそ777)は、遺伝子発現データからいくつかの異なるグループに分けられた。このような遺伝子群は遺伝子の数が少ない領域に多く存在し、特定の遺伝子機能もしくは遺伝子オントロジークラスと関連を示し、疾患にも非常に強い関連を示した。今回の解析手法によって双生児の遺伝力を、二卵性双生児における同祖遺伝子の共有と遺伝的類縁性の低さを根拠にした推定値と比較することが可能になった。サンプリングによる差異を考慮すると、これまでに推定された遺伝力は上方にバイアスがかかっていたことが示唆される。2,494人の双生児の遺伝子型を判定してeQTLを同定し、さらに、血縁関係のない1,895人において関連の再現性を調べた。その結果、重複のない局所的なeQTLの場合には、大多数(6,756)において再現性が確認された。一方、離れた位置にあるeQTLでは、品質管理および再現性の基準を満たしたのは相対的に少数(165)であった。今回の研究成果は、転写の遺伝的制御を解明する上での新たな情報源を提供するものである。