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食道がん:食道での発がんについて浸潤前の病期での変異の順序付け
Nature Genetics 46, 8 doi: 10.1038/ng.3013
がんのゲノム配列決定研究から多数のドライバー遺伝子が同定されているが、発がんにおいて変異が生じる相対的なタイミングについては分かっていない。前がん状態のバレット食道から食道腺がん(EAC)までは緩徐に進行するので、体細胞変異が発生する順序を研究するには理想的なモデルである。我々は、112例のEACについての全ゲノム配列決定およびアンプリコン配列再決定により、変異が頻発する遺伝子を同定し、また、クローン構造を評価した。次に、悪性進行の鍵となる2つの移行点、すなわち良性化生性の非異形成バレット食道(NDBE、n=66)、および高度異形成を伴うバレット食道(HGD、n=43)から得た109例の生検からなるコホートでスクリーニングを行った。予想もしなかったことに、EACにおいて変異が頻発する遺伝子の大部分が、NDBEにおいても変異していた。TP53およびSMAD4の変異のみが、それぞれHGDおよびEACに限定的、つまり病期特異的に生じていた。最終的に、我々は、この知識を適用した新しい非内視鏡検査によって、高リスクのバレット食道を同定することができた。結論として、EACのドライバー遺伝子の変異は、一般的に、疾患の進行の例外的に早期に生じているので、診断および治療の戦略に大きな影響を与える。