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QT間隔:QT間隔の遺伝的関連解析から心筋再分極におけるカルシウムシグナル伝達経路の役割が明らかになった
Nature Genetics 46, 8 doi: 10.1038/ng.3014
心電図から読み取れる測定値の1つで心筋の再分極に要する時間を示すQT間隔は、遺伝する形質である。QT間隔の延長は心室性不整脈や心臓突然死(SCD)のリスク因子で、致死転帰をとりうるメンデル遺伝性のQT延長症候群(LQTS)の発症を示唆する可能性がある。QT間隔についてのゲノムワイド関連解析およびその確認解析を、最大で10万人を対象に行い、出現頻度が高い遺伝的バリアントを含む35のゲノム領域(座位)を同定した。これらのゲノム領域によって、QT間隔の違いのうちのおよそ8〜10%がまとめて説明がつき、また心筋の再分極におけるカルシウム調節の重要性が明らかになった。ここで、今回同定したQT間隔関連ゲノム領域のうち6つの領域について、出現頻度の稀なバリアントを298人の血縁関係のないLQTS発端者においてスクリーニングしたところ、コード配列内のバリアントが複数見つかった。このまれなバリアントは、対照群では検出されないが疾患との関連性が不確かであるため、検証が必要である。そして、今回新たに同定されたゲノム領域のいくつかが、別の、既知の再分極に関与するタンパク質と物理的に相互作用する複数のタンパク質をコードしていることが判明した。今回、頻度の高いバリアントの関連解析、遺伝子発現解析、オルソゴナル(各々が重複しない)タンパク質間相互作用スクリーニングを組み合わせた解析によって、心臓の電気生理学的性質についての新しい手掛かりが得られ、不整脈、LQTS、SCDの発症に関与する候補遺伝子を新たに同定することができた。