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胆のうがん:胆のうがんの全エクソームおよび標的遺伝子の塩基配列決定によるErbB経路における反復変異の同定
Nature Genetics 46, 8 doi: 10.1038/ng.3030
胆のうがん(GBC)は急速に進行する胆管の腫瘍で、患者の予後は不良である。今回、腫瘍組織と正常組織のペア57組を対象に、エクソーム塩基配列決定と、がん関連遺伝子高カバレッジでの塩基配列決定を組み合わせた解析を行うことによって、胆のうがんに関する体細胞変異について同定したので報告する。変異パターンとしては、TCNの3塩基でCがTに変わる変異が多く見られた。かなりの頻度でのアミノ酸置換を伴う変異がある遺伝子としてはTP53(47.1%)、KRAS(7.8%)、ERBB3(11.8%)が挙げられる〔偽陽性率(FDR)は0.05未満〕。加えてErbBシグナル伝達(EGFR、ERBB2、ERBB3、ERBB4、およびその下流の遺伝子)は、最も広範囲に変異の入った経路で、胆のうがん試料の36.8%(21/57)に影響を及ぼしていた。多変量解析では、ErbB経路に変異のある症例では予後がさらにいっそう悪くなることが示された(P=0.001)。これらの知見は胆のうがんの体細胞変異の全体像に手掛かりを与えるもので、特に、胆のうがんの発病機序におけるErbBのシグナル伝達経路の重要性を強調するものである。