Analysis
頭頸部がん:頭頸部がんの多層的ゲノム解析はTP53変異を3p欠失に関連付ける
Nature Genetics 46, 9 doi: 10.1038/ng.3051
頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)は、転移や再発の傾向を示す進行性のがんである。本論文では、患者の生存を支配するHNSCCの分子的および臨床的な特徴についての包括的な解析を報告する。TP53の変異は、高頻度に染色体3pの欠失を伴っており、これらの事象の両方が存在することが、生存期間の驚くほど大きな短縮に関連することを見いだした(TP53変異のみの場合は5年以上生存であるのに対し、TP53の変異と3pの欠失の両方がある場合は1.9年生存)。TP53-3p相互作用は、染色体3pに特異的であり、HNSCCコホートおよび全がんコホートにおいて確認されている。ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)陽性腫瘍では、HPVはTP53を不活化するが、3p欠失も一般的に見られ、転帰不良に関連している。TP53-3p事象は、mir-548kの発現(さらに生存を短縮させる)によって修飾され、また、RASシグナル伝達に影響を与える変異とは相互排他的である。まとめると、今回同定されたマーカーは、HNSCCの分子的な不均一性を強調し、また、この疾患の新しい多層的分類を可能とするものである。