食道扁平上皮細胞がん：中国人集団を対象にした3種類の食道扁平上皮細胞がんのゲノムワイド関連解析のジョイント分析

食道扁平上皮細胞がん（ESCC）についての漢族中国人集団を対象にした3種類のゲノムワイド関連解析（GWAS）のジョイント（プール）分析（ESCC症例5,337例、対照群5,787例）を行った。さらに引き続いて、ESCC症例9,654例、対照群10,058例に対して関連を確認した。年齢、性別、解析、さらに2つの固有ベクトルで補正したロジスティック回帰モデルにおいて、ゲノムワイドに有意な関連を示す2か所の新たな座位（ゲノム領域）を明らかにした。すなわち、rs7447927でタグされた5q31.2領域（対立遺伝子あたりのオッズ比（OR）=0.85、95%信頼区間（CI）=0.82–0.88、P=7.72×10⁻²⁰）と、rs1642764でタグされた17p13.1領域（対立遺伝子あたりのOR=0.88、95%CI=0.85–0.91、P=3.10×10⁻¹³）である。ここで、 rs7447927はTMEM173の同義SNPで、rs1642764はTP53近傍のATP1B2のイントロン領域に存在するSNPである。さらに、2種類の集団においてゲノムワイドに有意な関連を示す、6p21.32のHLAクラスⅡ領域内の座位（rs35597309）を見つけた（OR=1.33、95% CI=1.22–1.46、P=1.99×10⁻¹⁰）。この座位のESCC発症リスクは最も高かった。今回のジョイント解析によって、複数のESCC易罹患性座位が新たに明らかになったのに加えて、太行山脈地域の集団に特異的な、ESCCハイリスク座位が1か所判明した。