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メラノーマ:繊維形成性黒色腫のエキソーム塩基配列決定からNFKBIEのプロモーターに頻発する変異およびMAPK経路のさまざまな活性化変異が明らかになる
Nature Genetics 47, 10 doi: 10.1038/ng.3382
繊維形成性黒色腫は、肉腫性組織像や異なる臨床的挙動が見られる珍しいメラノーマの1つで、発症機序は分かっていない。我々は、繊維形成性黒色腫20試料について、低深度でのゲノム塩基配列決定と高深度でのエキソーム塩基配列決定を行い、次に、42症例の検証コホートにおいて293遺伝子の標的塩基配列決定を行った。繊維形成性黒色腫はその高い変異負荷(Mbあたり平均62個の変異)により、最も変異率の高いがんに位置付けられた。変異パターンから、紫外線が主要な変異誘発要因であることが強く示唆され、これは起源細胞が表面に位置することを示している。新しく同定された変化としては、14.5%の試料にNF-κB抑制因子ε(IκBε)をコードするNFKBIEのプロモーターに頻発する変異がある。メラノーマによく見られる発がん性変異、特にBRAF(p.Val600Gluをコードする)およびNRAS(p.Gln61Lysあるいはp.Gln61Argをコードする)は見られなかった。一方、MAPKやPI3Kのシグナル伝達カスケードを活性化することが知られている他の遺伝的変化が73%の試料に同定された。それらは、NF1、CBL、ERBB2、MAP2K1、MAP3K1、BRAF、EGFR、PTPN11、MET、RAC1、SOS2、NRAS、PIK3CAに影響を与える変異で、このうちのいくつかは標的療法の候補である。