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ブタの家畜化:ユーラシアの野生のブタおよび家畜のブタのゲノム解析から家畜化における長期の遺伝子流動と選択の証拠が見つかった
Nature Genetics 47, 10 doi: 10.1038/ng.3394
家畜化の過程は人類が、ごく少数の個体を野生のブタから生殖的隔離を行ったことにより始まったと伝統的に仮定されている。我々は100を超えるゲノム配列を用いてブタの家畜化を解析し、ブタの家畜化が古典的な線形モデルに従うのか、それとも、より複雑な網状進化のモデルに従うのかの確認を行った。その結果、生殖的隔離そして高度の家畜化ボトルネックといった古典的モデルの仮定は、遺伝学的なデータと矛盾することを見いだした。加えて、家畜ブタのゲノムには遺伝的な流動があるにもかかわらず、行動や形態に影響する座位に選択圧がかかっていた明確なシグネチャーを持つことが我々のデータから示された。家畜の形質の選択が繰り返し行われたことにより、おそらくイノシシからの遺伝的流動を均質化する効果を弱めており、ゲノム中の「家畜化の島」が作られたことを我々は提案する。今回の成果は、動物の家畜化の解釈に大きな影響を与えるものであり、今後の研究においては、生殖的隔離を前提としないモデルを用いるべきであることが示唆された。