Analysis
多発性硬化症:クラスII HLAの相互作用が多発性硬化症の遺伝的リスクを調節する
Nature Genetics 47, 10 doi: 10.1038/ng.3395
ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子内の多様性が多発性硬化症のリスクに影響を及ぼす仕組みについての理解は、関連解析が行われることによって大いに深められた。しかし、主要な効果が相互作用により調節される範囲については、あまり明らかになっていない。本論文では、ヨーロッパ系の11のコホートからなる17,465症例および対照群30,385例の高密度SNPデータを解析し、古典的HLA対立遺伝子のインピュテーションを組み合わせて、HLAの遺伝的リスクの高分解能マップを構築するとともに、古典的HLA対立遺伝子が関与する相互作用の証拠を評価した。新規およびこれまでに同定されたクラスIIリスク対立遺伝子(HLA-DRB1*15:01、HLA-DRB1*13:03、HLA-DRB1*03:01、HLA-DRB1*08:01、HLA-DQB1*03:02)、およびクラスI防御対立遺伝子(HLA-A*02:01、HLA-B*44:02、HLA-B*38:01、HLA-B*55:01)の中では、クラスII対立遺伝子の対についての2つの相互作用の証拠が見つかった(HLA-DQA1*01:01–HLA-DRB1*15:01、およびHLA-DQB1*03:01–HLA-DQB1*03:02)。古典的HLA対立遺伝子と非HLAリスク関連バリアントの間の相互作用の証拠は見つからず、主要なリスク対立遺伝子を調節する多遺伝子性エピスタシスの効果は最小限であると見積もられた。